物件の背景
今回は築約60年の歴史を持つ大きな二階建て住宅の大規模リノベーションについてお話したいと思います。
リノベーションの対象物件はおご依頼主の奥様のご実家。ご両親が亡くなった後、長らく手つかずの状態だったそうです。
ご夫婦は両親が残してくれた思い出のあるご実家を将来的に終の住処として利用したいと考えておられました。
現時点ではまだ入居予定はないそうなのですが、お住まいの自宅よりは日当たりが良く空間も広いため、孫たちが帰省した際に一緒に過ごせる場所にしたいと望んでいました。
しかし、老朽化が進んでおり一部の設備は日常生活に適していない状態。特に孫たちが和式のトイレを使えない問題や、冬場はとても冷え込むキッチン(綾部の冬は寒い・・・)などの数々の問題がありました。
築年数のこともありますから建て替えてしまった方が良いのか、それともリノベーションにするのかどちらを選ぶかが大きな決断点でした。

子供には使いづらい和式トイレ

陽が当たらないジメジメしたキッチン
お客様からの要望
現状の課題は大きくは下記の通りでした。
- 明るく、暖かい部屋を希望
- 動線の改善、特にキッチンから生活空間へのアクセス
- 風通しの良い家づくり
- 段差の解消
私たちが提案したプラン
まだ屋根の状態が良好であったことと、ご入居は当分先とのことなので現時点での使用頻度を考慮した結果最終的にリノベーションを提案しました。
リノベーションのプランでは以下の改善策を施しました。
- キッチンとリビングを一体化し、南側に面した縁側を活用して光を取り入れる設計
- 断熱性の高い窓への交換
- 土壁を残し、床断熱を強化
- 1階の天井にグラスウールを充填し、使用しない2階と区切ることによる効率的な断熱
- 玄関からパントリーを経由してキッチンへ直行できる動線の確保
こちらがリノベ計画前と計画後の図面


リノベーション後のお客様の変化
このリノベーションにより、以前は帰省しても日帰りで帰ってしまっていた子供たちが、帰省先をリノベーションした実家にすることで3泊もしてくれたそうです。
お客様からは後日喜ばしいお手紙もいただきました。
リノベーションにおける生活動線の改善や断熱工事などはあくまでも目的を果たすための手段であり、その目的とはご依頼主様が願う暮らしを手に入れること。
ただ修繕する・キレイにするのではなく、今あるものに新しい価値を生み出すことでより暮らしを豊かにすることが大切であり、私たち地域工務店の役割なのです。
約10ヶ月に及ぶ大規模リノベーションプロジェクトは大成功と言えるのではないでしょうか。